俺はあの時はまだ知らなかった。


彼女の笑顔に隠されている悲しい過去を。

この1年に起こる想像もつかないような出来事を。

そして、どんな事をしても助けたいと思えるような大切な人の存在を。。



高校2年生。

学校には慣れたものの、元々友達づくりの下手な俺は友達と言える友達がいなくて
いわゆる『ぼっち』ってやつだ。

中学の時から仲のいい友達というものはいた事がないし、まぁその方が楽な時もあるし、今は別に困ってないからいいんだが。

そんな俺にとってはすごく困るイベントがある日のクラス会で決まった。

「山田んち、イルミネーション少しやってるらしいぜ!綺麗だからクラスみんなで見に行こーよ!!」

「いいね、いいね!そのままクリスマス会でもしよーぜ!」

今はまだ11月だからクリスマスってのは、早い気がするが、とにかくクラスみんなで集まってワイワイしたいんだろーなというのはすぐに分かった。

まぁ俺はどうせ関係ないけど。

友達がいなくて話し相手もいないのにイルミネーションみたところで悲しくなるだけに決まってる。

「オンくんは空いてるかな…?」

そう思ってた矢先、俺にそう声かけたのは俺とは全く正反対に属する、いわゆるうるさい系女子、ルカだ。

「塾が…ある。それ以外はないけど」

塾なんてないけど、そんなことよりぼっちの俺に行かせようとするなんてこいつも性格が悪いな。

俺があんまり得意とするタイプではない。

でも、いつもニコニコしてるし、クラスみんなと仲良い。誰にでも優しくて、こんな俺にも声かけてくるなんてこいつくらいだ。

まぁ俺とは人種が違うんだ…きっと。


「うそ。塾なんてないでしょ。私もオンくんとおんなじ塾なの忘れてるなー?」

「あ」

やらかした。これはもう言い逃れ出来ない。


「来て…くれるね⁇」

「う…ん…分かったよ。」