妖と人と

そこには、一人の子供が居た。



4家の子供らと同年代だろう、眠る少年。



それがどうしたとは思ったものの、 

すぐに辿って来た匂いが濃くなったことに気付いた。



一歩、また一歩と進む。



眠る少年は、特徴的な淡い桜色の髪をしていた。

長く伸びた淡い桜色の髪、比較的華奢な体躯。



縁のないとまで行かずとも、これが面白いとは思えない。



そう思ってはいるのだが、何故か…。



眠る少年の真ん前まで来ていた。

そして、見下ろしていた。



「…似ているな」







無意識にそう言っていた。



それがきっかけとなり、記憶を遡る。



ずっと昔の事だ。

もう、何百年も昔の…忘れた記憶。



その中に色濃く残る、一人の人の子。



目を閉じてその人影が浮かんだ時、目を開ける。



「んっハァーっ、ハァーっ」



途端、息が荒くなった目の前の桜色の少年。



「っだから結界を張っていたんだ」



深山が隣でそう言った。



「この子だけでは、封じていた力など制御できない。まして安定して間もなくなんて」



「封じ直せば良いだろう」



「簡単に言わないでくれ。それに、もう試した」



それでダメだったんだな。



「しーっ」



後ろで黒墨の華が静かにするようそう動いた。

深山に対してでは無いようだが。



「風魔、今からでも間に合わないのか」



「んー…どうかな」



「風魔!」



そんな風に話す彼らを意識から外す。



「ハァーッ、ハァッハァッ」



苦しそうだ。

胸を抑えて、息が荒い。



ースッ



ー「!」



前で止めていた羽織を脱ぎ、掛けてやる。