妖と人と

「うーん」



唸る黒墨の華。



他3家もらしくもなく黙っていた。



「…門川、俺は反対だ。この子の事はこの子が考えて行うべきだ」



そう言い終え、私を見る深山の目は良い気がするものではないし、

いつも深山が私に向けるものとは違っていた。



4家の子供らは、普段流されるのを許容している深山が反対した為か、

深山の横に並び、結界を背にしていた。



…空気など気にしてやる気がないからな。



「門川、面白いモノとは何だ?」



そこで、門川は笑みを深めスッと深山の前を指す。

子供らの後ろだ。



ースッ



「なっ!門川!」



深山の張る結界が解かれた。

それは門川が札を結界に向けて放った直後。



そういう術だったのだろう。



何が起きるでもなく、ただ結界が消えた事だけがわかった。



「っ風魔」



「はいはい」



結界があった場所、深山の近くに風魔が行く。



その時。

「巴…衛」





「あ…」



風魔がそう何か気付いたような声を出した直後。



「風魔、どういう事だ」

「貴方達、そこをお退きなさい」



深山と黒墨の華の声が重なった。



「母さん、良いの?」



「えぇ」



その時の黒墨の華の声は優しいものだった。



そして、子供らが端に寄ったことにより、結界があった場所が見えた。