妖と人と

広さ故にか人の気配は薄いが、一つ気になるものがある。



…強いな。



何が強いといえば、霊力がだ。



妖の妖力は、人が使う事はまず不可能だろう。

だが使う事は出来ずとも、感じることは出来る。



それは逆も同じ。

妖も人の霊力…いや正確には霊力を感じる事が出来る。



妖力を封じるこの組紐…この前では酷く簡単に覆される事実だが。



まぁいい。

門川の当主は当然として、これだけのものとなれば他家…他三家の者だろう。



4家。

深山の結界、風魔の封印、黒墨の契約、門川の祓い。



それぞれ血故に継承されてきた術があり、

得意とする術の系統は大体それに当てはまる。



深山一族は結界を得意としていると言われ、大体が結界師。

風魔一族は封印を得意としていると言われ、大体は封印師。

黒墨一族は契約…妖を従属し従える術が得意といわれ、その殆どが結び師。

門川一族はそれらをバランス良く得意とし、総合的に祓い自体が得意と言われている祓い屋。



この4家は妖の間のみならず、こういった血筋の者に広く認知されている。

さすがに一般人には然程影響力は無いようだが。



…妖から見ても歴史が長く、能力も高いエリートのようなもので、

要はそれ故に他と違い目立つのだ。



例として今、その霊力の高さが目立っている。



霊力を頼りに、門川が居る部屋を見つけ入る。



ースッ



部屋の周りには結界が張ってあったが、

妖力を封じた状態の私は人と認識される為すんなり通れた。



襖を開けて入ったのだ。

誰か一人くらいは気付くと思ったが、誰もこっちを見ない。