「着いたよ」


躊躇いながらもエレベーターを降りたのは、最上階の五十階。
二つしかない部屋の奥の部屋が総一郎さんの部屋らしい。


カードキーを使ってドアを開ける。
中に入ると、リビングには一面の窓。


「総一郎さん、海が見えるんですね」


「そうそう。だから来年の花火大会はここからゆっくり見られるよ」


「本当にすごい。改めて総一郎さんってすごい人だったんですよね」


窓の外からは海が見えてワクワクする。
部屋の中は全体的に白色の壁やソファやダイニングテーブルが置いてあって本当にモデルルームみたい。


「まさか優衣からそんな言葉が聞けるなんて思わなかったな。それって優衣が一番、気にしてた身分違いが気にならなくなってたってことだよね?」


「あっ、本当だ。そうですね。そう言われたらそうかもしれないです。当たり前のように、私の隣に総一郎さんがいてくれたから感じてなかったのかもしれないです」