運命の出会いは誓いのキスから 《番外編追加》

「優衣、ここにいたのか。お嬢さんが相手してくださっていたんですね、ありがとうございます」


私を見つけたお兄ちゃんは急いで駆け寄ってきてくれた。お嬢さんって呼んでたから二人は知り合いなのかもしれない。


「影山先生とお知り合いだったのね。今日は来てくださってありがとうございます」


「……すみません。急患が運ばれたそうなので失礼します。行くぞ、優衣」


「えっ？えっ？」


困惑している私のことなど無視をして、お兄ちゃんは私の手を引っ張りスタスタと歩き始めた。

気のせいだろうか。あの女性がすごく悲しそうな表情を浮かべているように見えたのは。


「お兄ちゃん、ちょっと待ってよ。どこ行くの？」


「帰るんだよ。優衣、やっぱり俺たち普通の人間とここにいる人間は違うんだ。お前もあいつのことは……」


「逃げるんだ？東吾くん」


その声にピタッと足を止めたお兄ちゃん。私も振り向くとそこには真剣な表情をした総一郎さん。

逃げる？私だけが置いていかれている中、二人は会話を続けた。