運命の出会いは誓いのキスから 《番外編追加》

「……兄の友達なの。次期社長は私の兄の友達で、昔からよくお世話になっててね。兄が家を出て、お会いする機会もなくなってたんだけど、こうして再会できたから懐かしいなって話してたの」


ありもしない嘘をついた。

よくこんなにもスラスラと嘘がつけるなと自分でも関心する。


でも、目の前の二人はまだ私を怪しそうな目で見ている。
無理やりすぎたかな、やっぱり。
でも、そんな私の嘘をソウさんは助長してくれた。

「そうなんだ。優衣と俺は優衣の兄繋がりなんだよ。でも、本当に優衣に出会えてよかった。親の会社とはいえ、誰も知らない環境下でトップに立つのは、少し不安もあったから」


「そう、だったんですか」

少し、見惚れるような表情を浮かべる水野さん。
納得してくれたみたいで、ホッとした。そんな水野さんにソウさんは、更に言葉を続けた。


「だからこれからも優衣をほんの少しだけ特別扱いするかもしれないから、もし、それを罵倒する人がいたら兄友だからって君から説明してくれるかな？優衣はきっと言いにくいだろうから」


「はい。もちろんです。せっかくの再会邪魔しちゃってすみません。ほら、松原急ぎじゃないんだから先に戻ってよっか。優衣さん、いつもまじめで休憩も取らないんだからもう少しだけゆっくりしてきてくださいね」


水野さんがそう言って、ソウさんのことをジッと見つめて動こうとしない松原くんの腕を無理やり引っ張ら形で、二人は資料室から出て行った。



「……兄友ね」


「す、すみません。とっさにあんな嘘ついてしまって」


ソウさんまで巻き込んで咄嗟についた嘘。

またソウさんを傷つけてしまったかもしれないとシュンとしていると頭を優しく撫でられた。