部署を出て、資料室に向かう。
資料室はちょうど総務部と同じ階にあるけれど、エレベーターを超えた奥の場所にあるので、普段は寄り付くことがなかった。
資料室の鍵を開け、中に入った。
ここには各部門の売上などがファイリングされて収納されている。
とりあえず、まずは五年くらいを遡ってみようかなと資料を探し始めた。
「……優衣」
資料室に響き渡る私を呼ぶ甘い声。
カツンカツンと近づいてくる靴音に気がつかないふりをして、仕事を続けた。
そんな私を背中から包み込むように抱きしめるソウさん。
「や、やめてください。こんなところ、誰かに見られたら」
「見られてもいい。やっと優衣に触れられたんだから」
ソウさんは抱きしめる手を強め、今にも泣きそうな声で言った。
胸が強く締め付けられる。
自分からあなたとは付き合えないと言ったくせに、連絡も無視できない。
それだけじゃなく、この腕の中に閉じ込めてほしいとまで思ってしまう私は、ソウさんをたくさん苦しめて、傷つけているに決まってる。
「……どうして、ここが分かったんですか?」
「本社内の各部署に就任の挨拶に回っていたら総務の一人が資料室にいるって聞いたから。優衣の姿がなかったし、きっとそうだと思って来たんだ」
「そう、だったんですか」
「優衣は、俺に会いたくなかったよね?」
資料室はちょうど総務部と同じ階にあるけれど、エレベーターを超えた奥の場所にあるので、普段は寄り付くことがなかった。
資料室の鍵を開け、中に入った。
ここには各部門の売上などがファイリングされて収納されている。
とりあえず、まずは五年くらいを遡ってみようかなと資料を探し始めた。
「……優衣」
資料室に響き渡る私を呼ぶ甘い声。
カツンカツンと近づいてくる靴音に気がつかないふりをして、仕事を続けた。
そんな私を背中から包み込むように抱きしめるソウさん。
「や、やめてください。こんなところ、誰かに見られたら」
「見られてもいい。やっと優衣に触れられたんだから」
ソウさんは抱きしめる手を強め、今にも泣きそうな声で言った。
胸が強く締め付けられる。
自分からあなたとは付き合えないと言ったくせに、連絡も無視できない。
それだけじゃなく、この腕の中に閉じ込めてほしいとまで思ってしまう私は、ソウさんをたくさん苦しめて、傷つけているに決まってる。
「……どうして、ここが分かったんですか?」
「本社内の各部署に就任の挨拶に回っていたら総務の一人が資料室にいるって聞いたから。優衣の姿がなかったし、きっとそうだと思って来たんだ」
「そう、だったんですか」
「優衣は、俺に会いたくなかったよね?」

