運命の出会いは誓いのキスから 《番外編追加》

「今年の売上、去年度よりも減ってませんか?去年も少ないのに今年は更に少ないですよね。やっぱり音羽堂もコンビニ商戦には押されるのかな」


就任式が終わり、通常業務に戻る。
ソウさんのことは気にしないようにしようと心がけていると、水野さんが声を掛けてきた。


「そんなこと、言わないの。でも、確かに表を見ても年々売上は減ってるのが分かるね」


前年度の売上と今年度の売上を比較していると、明らかに今年の売上が減っていた。


洋菓子はたくさんのブランドがあるし、今ではコンビニですぐにスイーツも手に入るからか最近の受注も減っているような気がしていた。


それに音羽堂だからと買ってくれている顧客の人がいても、洋菓子に関しては音羽堂の銘菓なるものはなかった。

何か一つ看板商品があったらもう少し、変わるのかな。



「ちょっと何年間か遡って比較してみよう。資料室に行って、資料確認してくるよ」


部長からは前年度との比較表を作って、提出してほしいと頼まれていたけれど、それだけじゃなくいつからこんなに売上が減少したのか知っておいて損はないはず。


それに仕事に没頭していれば、その時間だけでもソウさんのことを忘れていられると思った。