運命の出会いは誓いのキスから 《番外編追加》

私は、メインの生クリームを泡立ててほしいと言われた。

でも、混ぜても混ぜても全然泡立たない。生クリームは、すぐに角が立つものだと思っていたのに。
ふうとため息をつくと、別の作業をしていた総一郎さんがクスクスと笑った。


「へたっぴ。持ってて俺が教えるから」


私の後ろから重なるようにして、総一郎さんがピタリとくっつき、私の手に自分の手を重ねて、泡立て器をかき混ぜ始める。

するとさっきまで泡立つこともなかった生クリームがみるみる角を立ててきた。


「すごい、すごいです。さっきまで全然角なんて立たなかったのに」


「二人でやったからかもね」


ちょっといたずらっ子のような笑みを浮かべ、総一郎さんはそっと人差し指に生クリームを掬い、そしてそれを私の頬に塗った。


「手伝った俺にご褒美ちょうだい」


そう言って生クリームをペロッと舐めた後、総一郎さんは頬にチュッとリップ音を立ててキスを落とした。

そしてそれに照れて何も言えなくなった私にこう言った。

「今から冷蔵庫で一時間ほど、冷やすからその間どうしようか?」

それは軽くどうする?と聞くような聞き方ではなく、少し挑発的にこの先をあえて私に言わせるような聞き方。

「総一郎さんに、おまかせします」

そう返すと「了解」と妖艶に総一郎さんは微笑んだ。