運命の出会いは誓いのキスから 《番外編追加》

差し出された手を取った私は総一郎さんに連れられ、車に乗り、家に帰ってきた。

そこで総一郎さんは着ていたスーツの上着を脱ぎ、ネクタイを緩めて、袖ボタンを外し、クルクルと腕まくりをした。


「今から俺が優衣のために作るから」

「えっ?」

「優衣のアイデア、俺は採用。だから今から作る。優衣も手伝ってくれる?」


ニコッと笑みを浮かべ、私の返事を待つ彼にどう返事をすればいいのかわからずにいたら

「俺に任せて」と言われ、その自信の溢れた表情にドキドキが止まらなくなり、コクンと頷いた。


「俺、実はさパティシエの勉強もしてたんだ。やっぱりいつかは継ぐことになるだろうと思ってたし、憧れたこともあってさ」

「そうなんですか?あっ、もしかしてクリスマスのときのケーキも総一郎さんが?!」

あれから食べたくてずっと、探していたクリスマスのときのケーキ。
でも、見つけられなくてガッカリしていた。

「そうそう。あんなに喜んでもらえて嬉しかったよ」

「また作ってくれますか?」

「もちろん、優衣のお願いなら喜んで」


ボールに薄力粉と砂糖を入れて、混ぜながらそう話す総一郎さんにいつも以上にドキドキする。

でも、そっか。あのケーキは総一郎さんが作ってくれてたんだ。
いつもとは違う一面。

たまに料理を作ってくれることはあったけれど、まさかクリスマスケーキだけじゃなく、私のアイデアのミルクレープロールケーキを作ってくれるなんて、私は幸せ者すぎる。