「私にはそれが幸せです。ここが私の居場所だって思えるから。だからいつもありがとうございます」

私の言葉を待たず、ぎゅっと後ろから強く抱きしめる総一郎さん。総一郎さんは私を抱きしめるとき、本当に慈しむように愛おしむように、何度も肌を触れ合わせてくる。私はそれがとても好き。

「こちらこそ、いつもありがとう。優衣に出会えて、俺はたくさん幸せをもらってる。よしっ、たくさんエールを込めたから頑張っておいで」

「はい。総一郎さん、待たせてすみません。返事、させてください」


「それは結果が出てからね。焦らなくても、ここまで待ったんだから、最後まで待つよ」

「はい」

結果が出るまでは、ずっと気になって仕方がないけれど、今回は結果よりエントリーすることだと言い聞かせて頑張る。もちろん選ばれることが一番嬉しいけど。


でも、結果がどうであれ、総一郎さんにちゃんと伝える。あのときの返事を。


大きく決意を固めた私は、もう無理はしないとたくさん用意してくれた朝食を総一郎さんと一緒に完食し、職場へと向かった。


ミルクレープとロールケーキ。
どちらも好きだから決められない。
決められないからどっちも使おう。


ミルクレープロールケーキ。
これで私はエントリーすることに決めた。