「まさか、お前の相手があの人だとはな」


次の日、朝一で的場くんに呼び出された。さすがに行かないわけにいかないと渋々、覚悟を決めて、休憩室へと向かった。ふうとため息をついた的場くんは、窓の外を見ながらそう呟いた。


「分かってるよ、不釣り合いだってこと」


「だったら、なんで?言われてもらうけど全然釣り合ってねえよ。お前、可愛いと思うけど、あの人とお前じゃ身分違いにも、程がある」


「分かってるよ。だから公にはできない。でも、諦めることもできない」


私の答えにまた、大きくため息をつく的場くん。正直今の的場くんの言葉は結構傷ついたけれど、でもそれが正解なんだと思う。


「私、もうその言葉で逃げないことにしたんだ。後は私が頑張るだけ。だから的場くんの気持ちには応えられない」


「あーあ、わかったよ、ったく二度も振りやがって。あーあ、俺っていつもタイミング悪いんだよな。悔しいの」


ムカつくとわしゃわしゃと私の頭を撫で回した的場くんは、ニカッと笑みを浮かべて捨て台詞を吐いた。


「見てろよ、こんないい男、二度も振ったこと絶対後悔させてやるからな!」


バキューンと私を撃つようなポーズが面白くて、私はクスクスと笑ってしまった。そして、心の中で思った。


的場くん、私を好きになってくれてありがとうと。