「いいじゃない。幸せ太りー!それに渚はひどい時はやつれてたくらいだから、それくらいでちょうどいいよ」


「ダメだよ、痩せなきゃ。渚やお兄ちゃんの結婚式もあるのにこんなポッチャリなんて」


「指摘した私が言うのもなんだけど、気にしなくてもいいでしょ。優衣は気にすると落ち込むタイプだし、無理なダイエットとかダメだからね?」


「うん、ありがとう」


きんぴらを一口、口に放り込み、十五回くらい噛む。咀嚼回数が多いと満腹中枢が満たされやすいらしく、ダイエットに効果的とか。

でも、あんまり変わってないから意味ないのかな。


「で、どうなの?」


「ん?社内公募のこと?締切間近だって言うのに、なかなかうまくいかなくてね。いろいろアイデアは出るんだけれど、どれもイマイチな感じがしてさ」



顎がいつもより疲れてきて、味もあまり感じないきんぴらを噛み続けてると渚がいきなりポンと話題を変えてきた。


社内公募に応募することは渚にも相談していたし、そろそろ締切間近ともあって相当焦りを感じていたところ。


「違う。社内公募のことじゃなくて、彼氏とのこと。同棲生活ラブラブなんでしょ?」


休憩室は私たちだけじゃないから、渚が耳打ちでこそっと言う。


「実は今、別々の部屋で生活してるんだ」