「びっくりした~。いつからそこにいたの?」


「母君が来た時から。」


そういう事ね。


夜叉は物静かなので、時々気付かない事がある。


見た目は怖いが、根はとても優しいのだ。


兄にだけは何故かキツいが…。


「これでよしと。」


玄関の鍵を閉め、夜叉の案内の元に会合場所へ向かう。


「あのさ、会合場所って何処なの?」


私は何故か、肝心な会合場所がどういう所かという事を聞いていなかった。


「藤堂家のお屋敷だ。」


「え!?」


藤堂家と言えば、祓い屋では知らないと言われる名家だ(馬鹿な私でも知ってるぐらい)。


「お前のその顔は、藤堂家のお屋敷が歩いて行ける所にあるんだっていう顔だな。」


「ぅッ…。」


流石。私の事を分かってらっしゃる。


「確か今年に入って新しい頭首になったらしく、ついでにその挨拶があるみたいだ。」


「へー。」