「救われた…のですかね」

椿と蘭丸も、歩み寄ってくる。

「有り難う。お陰で無用な争いが避けられました」

「…フン」

椿の言葉が不服そうに、牡丹は鼻を鳴らす。

「よろしければ、名前を聞いていいですか?」

「…………」

「つれないねぇ、名前も教えちゃくれねぇのかよ」

苦笑いする蘭丸。

「帰るぞ」

振り向いた牡丹が、蘭丸達に声をかけた。

仕方なく一礼をし、その場を立ち去り始めた椿に対し。

「…………女の子らしく……雪ちゃん……とでも呼んで下さい……」

「自己紹介遅ぇなっ!」

蘭丸裏手ツッコミ。