天神学園のお忍びな面々

立ち止まる先輩。

対峙する牡丹を、真っ直ぐに見据える。

「お前も、辻斬りなどとほざくクチか」

「いや」

牡丹は緩々と首を横に振る。

「俺は尋常な勝負にしか興味はない。夜討ち朝駆け闇討ち暗殺の類は、弱い犬のやる事だ」

「おいおい、そりゃねぇぜ坊ちゃん」

離れた場所から言う蘭丸。

「僕も坊に同感だけどね」

何処に隠れていたのか、夕城 椿も同意する。

「ならばどうする」

ミシリと、拳を握り締める先輩。

「血が滾ったならどうする」

「貴様ならどうする?」

鍔鳴りする柊。

牡丹の右手の指が、ピクリと動く。

抜くか。

先輩もまた、気取られぬように地面を裸足で踏み締める。