天神学園のお忍びな面々

「っとぉ!」

蘭丸は迷わず、踵を返して逃走した。

その姿、脱兎の如し。

「逃げるのか」

「ああ逃げる」

暗闇から声がして、蘭丸はそれに答えた。

「父君…龍馬殿が嘆くぞ」

「あんな化け物にぶっ殺された方が、もっと嘆き悲しむぜ坊ちゃん。『勝てるかどうかも見極められんほどのバカタレじゃったか』ってな」

一目散に走り去る蘭丸の代わりに。

「……」

藍の瞳の青年が、先輩の前に立ちはだかった。

手には、四季・色彩銘刀、冬の刀・柊。

「何故だろうな」

夕城 牡丹は呟いた。

「お前の前に立つと、やけに血が滾る」