天神学園のお忍びな面々

「フン」

ヴラドは鼻を鳴らす。

「貴様らしい…いや、貴様らの種族らしい物の考え方だな。献身的というか、自己犠牲というか…吐き気を催す」

「吸血鬼…しかも真祖の貴様には理解しがたいかもしれんな」

「ああ全くだ。俺は貴様と違って、人間に仇なす存在だからな」

「……」

ヴラドに貶められるような発言をされても、雷は別段気にしない。

このヴラドという吸血鬼は、西洋から来た人外だったか。

だが、雷は言うほど、彼が悪辣とした存在だとは思っていない。

雷よりも早くから、この天神の地に居座っているというヴラド。

その割に、かなり昔から人間からの吸血行為はやめているようだし、本人が言うような人間に仇なす行為もしていない。

雷の存在を知り、臨時教師に適任と勧めたのも彼からだ。

案外、性根は悪くないのかもしれないと思っている。