「そうは思わんか龍娘」

翡翠はもう一度、引っ繰り返っている一つ目入道を見る。

「あの鹿島とかいう男の事だ。番格とはいえ、この一つ目入道をあしらうだけの実力は持っておろう。その点に関しては何ら驚きはせん…問題は…」

納刀したままの川蝉の切っ先で一つ目入道を指す。

「この傷、この火傷だ」

「…確かにな」

腕組みする龍娘。

「校庭でのヤンキーどもとの一戦を見ていた限り、奴の流儀は無手での格闘だった。このような火傷を与える技術はなかったように思うが」

「しかも、この火傷…炎によるものではない。恐らくは感電によるもの。いわば火傷は副産物的なものであり、この攻撃の本命は電撃によるものだ。ならば」

翡翠は眉間に皺を寄せた。

「このような電撃を与える事の出来る、あの鹿島という男は何者だ?この火傷、『すたんがん』のようなチャチな道具では不可能な筈だ…」