「ならば俺が話を聞いてやろう」

ゴリッ、と。

男子生徒の頭に押し付けられるドデカイ拳銃の銃口。

目の下に隈の出来た、顔色悪いインバネスコートの学園長降臨。

「何の話がいい。丹下 龍馬を血祭りにあげた話か。早川 龍娘と血みどろの死闘を演じた話か」

「け、け、結構ですうぅうぅぅうぅうっ!」

男子生徒達はテリアそっちのけで、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

冷血無情の学園長が、人助けとは珍しい。

「あ、あの…」

盲目の瞳をヴラド学園長に向け、テリアはオズオズと告げる。

「あ、有り難うございました…学園長…」

「フン」

ヴラドは鼻を鳴らす。

「少しばかり思い出して、真似事をしてみただけだ。見境なしに困った人間を見つけては首を突っ込んで助けたがる、偽善者のな」