墓に線香をあげ、花を供え、両手を合わせる。

最後に思い出したように、先輩は一升瓶を翡翠の墓に供えた。

未成年だ、酒の善し悪しは分からない。

が、酒屋の店主によると、なかなか上等な酒だそうで。

それならば大剣豪にも失礼には当たるまいと、買ってきたのだ。

…用事を済ませ、先輩は墓所を後にする。

その帰り道。

先輩は、こちらに向かって歩いてくる3人の人影を見た。

新年の、こんな早朝から墓参りに来る風変わりな者は、自分1人かと思っていたが。

特に挨拶するでもない。

初めて見る顔ばかりだ。