天神学園のお忍びな面々

それにしても、当面の問題は校舎だ。

これでは授業も儘ならない。

「別によかろう。元々授業シーンなどないのだから」

ヴラド、余計な事言わない。

「せめてもう少し後なら、どうせ夏休みに入るからよかったんですけどねぇ…」

顎に手を当て、思案するリカちゃん先生。

この壊れっぷりだ。

修繕には一月はかかる。

校舎がなければ、学園として成り立たないのだが…。

「校舎であれば構わないのだな?」

ヴラドが、肩越しに振り向いた。

そこには、久々登場秘書のルナ。

親子ゆえの意思の疎通か。

言われずともルナは頷き、すぐに取り出したスマホで手配を始める。

「何ですぅ?」

小首を傾げるリカちゃん先生に。

「何…」

ヴラドはニヤリと笑った。

「この国の夏の風物詩を幾つも押さえようという話だ」