天神学園のお忍びな面々

ディアの手当てを受けたリュークは、他の仲間達の治療を始めた。

戦闘でも最前線に立てる実力があるが、彼の医療技術も最前線で役に立つ。

レオと牡丹の渾身の斬撃を受けた紀州の手当てを、手際よく行う。

その様子を見ながら。

「学園長」

重苦しいブーツの音を立てて歩いて来たヴラドを制止するリカ。

「言われずとも」

ヴラドは舌打ちした。

「あの小僧はウチで引き取る。厄介者を好き好んで受け入れるのは天神学園の悪しき習慣だ。面倒な事だ」

「まぁまぁ、そう言わずにぃ」

戦闘後という事もあり、すっかりリカちゃん先生モードに戻り、彼女は間延びした口調で話す。

「紀州とテリアだったか…奴らを受け入れておけば、ヒノモトのリュートにも貸しができる。そうすれば…」

ヴラドは、見るも無惨な姿となった校舎を見上げる。

「コイツの修繕費も吹っ掛けられるというものだ」

学園長、ちゃっかりさん。