天神学園のお忍びな面々

瞬間!

「龍鬼ぃいぃぃいぃいいっ!」

空をも切り裂く鋭利なる斬撃が、まだ完全に気の入っていない龍鬼の胸板を掻っ捌いた!

牡丹渾身の、斬鉄・極!

その刃は黒化して強靱となった龍鬼の胸板をも深く斬り込み、噴水のような出血を齎す!

その出血は、只のダメージを目的としたものではない。

「…血の気の多い貴様の血、少しばかり抜いてやろう。こうすれば悪しき感情に持っていかれる事もあるまい」

覚醒しかけた吸血鬼と悪魔の血を体外に放出させる。

牡丹はそうする事で、龍鬼の覚醒を未然に阻止したのだ。

ガクリと崩れ落ちる龍鬼。

彼は、牡丹を見上げる。

恐らくは終生の好敵手になるであろう男を。

「恩に着る…」

「ああ。着せてやる」

牡丹は薄く笑った。