天神学園のお忍びな面々

スルリと。

紀州を羽交い絞めにしていた龍鬼の腕が解けた。

立ち昇る黒いオーラ。

俯き気味に立っていた龍鬼が、突然仰け反るように天を仰ぎ。

「オァァアァァアァアァァアァアァアアァアァッ!」

紀州に勝るとも劣らない咆哮を上げた。

口から、白煙のように瘴気が漏れ出す。

白眼を剥き、完全に正気を失った顔。

体内から溢れ出す魔力によって、肌の色は勿論、白い道着まで黒く染まっていく。

並び立つ、2匹の狂獣。

天神の地に伝えられる臥龍にも匹敵するほどの忌まわしき怪物が、この天神学園に、その禍々しい姿を曝け出す。