レオは瞬時に判断する。

こいつは大型幻想種クラスの化け物だ。

ナリは紀州のままでも、持てる力は完全に人外。

「拘束解放。術式開始」

『承認。ウンディーネ、シルフ、ノーム、ドリアード、フラウ、シェイド、ウィスプ』

レオの呼び掛けに応じ、イクリプスから響く声。

迷わず現在使える最大の技を放つ決断をした。

校舎内での危険な行為ではあるが、放置しておけば更なる被害が予想される。

レオの決意に呼応するように。

『サラマンダー』

イクリプスから火柱が上がった!

「おぉぉおぉぉおぉおぉぉっ!」

イクリプスを叩き付けるレオ。

その火柱と化した剣が、紀州の体を大きく後退させる!

なのに。

「何だコイツの体…!」

レオは驚愕した。

紀州の全身を覆う鋭角的な獣のオーラ。

まるで鉄針のようだ。

切り裂く事も貫く事も出来なければ、寧ろ近づく者を穿ち傷付ける攻撃的なもの。

四肢を以って踏み止まった紀州は。

「――――――――――っっっ!」

その攻撃的なオーラを纏った爪の一撃で、レオを薙ぎ払った!