フラッシュバックする、幼少の記憶。

戊辰大戦の最中、食うや食わずで生活してきた孤児の日々。

食べ物が不足していたばかりに、命を落としていった仲間。

その日食べるものさえなく、焼け野原を彷徨った日々。

仲間と自身の保障をする代わりに、危険な人体実験を受け入れた日の事。

戦争が終わり、新たに将軍となったリュートに研究施設から救われなければ、紀州は只の兵器として廃人と化していたかもしれない。

そんな経験も知らず。

「食い物に恵まれてる事を、当たり前だと思いやがって…!」

紀州の全身が、総毛立つ。

紀州だけではない。

傍にいたテリアさえも、総毛立つような感覚。

「……!」

牡丹達と共に食事をとっていた白雪も、同じ感覚を感じ取る。

「……いけない……!」