そんな訳で。

「はいニンニクラーメンニンニクましましお待ちどおさま」

湯気立ち昇る丼を渡され、紀州の顔が綻ぶ。

割り箸を割るのももどかしく、麺を啜る。

「うんめぇ!」

学園に来た初日に、美味しいと教えられたニンニクラーメン。

今ではすっかり虜だ。

ヒノモトは、まだまだ饂飩や蕎麦が主流の為、ラーメンはバリエーションが少ない。

紀州にとっては御馳走なのだ。

「このラーメン考えた奴は天才だな!きっと腕も立って大食いで中華の達人だったに違いねぇ!」

まるで見てきたようにカンペに書いてある台詞を読むような口ぶりの紀州。

ズズズ、と音を立ててスープを飲んでいると。

「あー、また学食にいた」

ようやくといった様子で、テリアが紀州を見つけた。

「しかもまたラーメン食べてる。何食ラーメン食べるの、紀州君」

「テリアも食うか?」

「私はお腹空いてないよぉ…」