ガタン!と。

席を立ったのはテリアだった。

彼女はすぐに白雪と紀州の間に割って入り、紀州を庇う。

「……やはりそうですか」

無表情で、紀州を見る白雪。

「紀州君は人外ではないです」

大きく両手を広げたまま、テリアは言う。

「貴女の見立ては間違っていないですけど、紀州君は人外ではないです。誰も傷つけたりしないです」

「……」

「紀州君」

テリアは振り向き、紀州の顔を見た。

「帰ろう、こんな所にはいられない。きっと偏見の目で見られる」