「俺は紀州ってんだ。こっちはテリア。よろしくな」

そう言って、当たり前のように席に座る紀州。

牡丹達は、怪訝な顔をして彼を見ている。

「何者かと訊いている」

「何だよ、さっき自己紹介しただろ」

「紀州君、名乗っただけだよっ、素性が全く分からないよっ」

自己紹介のイロハも知らない紀州をフォローするテリア。

普段の心労が窺える。

「俺が説明する」

見かねたリュークが、間に入った。

「こいつらは、ヒノモト護衛部隊『番犬』で、同じ釜の飯を食った仲間だ。つい先日、他星の密偵任務に就いていたと聞いていたが…」

「それが終わってな、新しい任務でこっちに来たんだ。豆柴、お前の刀剣製造技術調査任務を手伝えって言われたが…」

「あ゛ーっ!」

紀州に言われ、豆柴が大声を張り上げる。

「定期報告、忘れてたです…」

流石豆柴、さす豆。

「じ、じゃあその旨を、私が代わりに報告しておくね、豆柴ちゃん」

テリアがフォローする。

きっと番犬では、彼女が1人で他人のフォローばかりしていたのだろう。

普段の心労が窺える。