学食で昼食タイムに勤しもうとしていたいつもの面子が、一斉に振り向く。

「俺か?」

自身を指差す、金髪手拭い鉢巻の青年。

「き、紀州君っ」

黒髪の少女が、パタパタと走って来る。

「駄目だよ、勝手に入っていっちゃあっ」

「お前は!」

豆柴がたぬきとろろぶっかけ蕎麦を載せたお盆を持ったまま、声を上げる。

「紀州とテリア!YOUは何しに天神へっ!」

「えっ?」

美緒とリュークも、豆柴の声で駆け寄ってくる。

「よっ、久し振りだな」

屈託なく笑う紀州、走ってきたせいで呼吸も整わないテリア。

「誰だコイツらは。豆柴の知り合いか」

牡丹が不躾な視線を紀州達に浴びせかける。