「紫陽花さん、只今帰りました」

椿が礼儀正しく帰宅を告げる。

夕城邸、午後5時。

夕城道場での稽古を終えた夕城三人衆と豆柴が無事到着。

本日はエレナとマモルも一緒だ。

「おかえりぃ~、エレナちんいらっしゃい」

エプロン姿の紫陽花が、手を拭きながら玄関先で出迎えてくれる。

その丸い瞳は、即座に小柄なドチビさんを捕捉した。

「君が朝帰りマモル君かぁ」

「朝来帰です、奥方」

軽くキレ気味のマモル。

「本日はお招き頂き有り難うございます」

「ちゃんと御挨拶できたねー、初等部なのに偉いねー♪」

「高等部です」

頭を撫でる紫陽花の手を、軽く払い除けるマモル。

背丈で判断するなと言いたいらしい。