天神学園のお忍びな面々

金髪馬の骨糞野郎。

清々しいまでの罵倒侮辱だ。

最早腹も立たない。

「その…どちら様でしょ…」

うか、と言い終わる前に、武は韋駄天を一旦納刀、瞬時に抜刀した。

ヒタリ。

刃がリュークの頬に当てられる。

恐るべき事に、リュークの皮一枚も斬れていない。

「夕城 エレナが父、夕城 武だ。はじめまして金髪馬の骨糞野郎。そして」

頬に当てられていた韋駄天が消えた。

「さようならだ」

そして次の瞬間!

「がはっっっっ!」

多量出血を狙いとした剣撃、赤蘇芳(あかすおう)!

リュークの道着よりも赤い血が、真紅に染めた。

「っおいっ!」

「お父様っ?」

「武殿っ!」

龍鬼が、エレナが、椿が、思わず倒れたリュークに駆け寄る。

「あのぉ~…武さん?」

リカが白衣を纏ったまま、武とリュークの間に割って入る。

「夕城 武という武人は、正々堂々、筋を違えず礼節を弁えた方だと伺っています」

静かな怒りを湛えたリカは。

「これはどういった暴挙でしょう…?」

片手で眼鏡を外した。