天神学園のお忍びな面々

そろそろ、美緒の降りる駅が近づいてきた。

蘭丸とはここでお別れだ。

「それでは蘭丸先輩、私はここで。ご両親にもよろしくお伝え下さい」

「んん?何をだ?」

蘭丸は、美緒の鼻先に顔を近付ける。

「近々嫁入りの挨拶に伺いますって伝えとけばいいのか?」

「蘭丸先輩っ!」

唇を尖らせる美緒。

その瞬間だった。

電車は急カーブに差し掛かり、大きく傾く。

流石の夕城剣客の蘭丸も虚を突かれたか、自慢の足腰でも踏ん張り切れず、よろめく。

美緒の方に、よろめく。