「まぁなぁ」
完全に美緒の方に向き直り、蘭丸はボリボリと頭を掻く。
「今時古臭ぇ山奥の刀鍛冶だからな、ウチの実家は。ボロ臭ぇ小屋で、夏クソ暑くて冬クソ寒ィ鍜治場で、年がら年中焼けた鉄引っ叩く仕事だ。そんなとこの嫁なんて、やってられねぇわな、正味な話」
「え…いえ…」
美緒は蘭丸の顔を見る。
「私はそういう意味で言ったんじゃありません。古臭いとか、山奥だからとか…仕事や住んでいる場所で、人間の善し悪しが決まる訳ではないですから。それに、古くから伝わる技法を今も絶やす事なく守り続けている蘭丸先輩のご家族は、素敵だしご立派だと思います」
「……そうか?」
「はい」
頷く美緒に、蘭丸は微笑む。
いつものからかうような笑みではない、素直な笑み。
美緒の言葉が、真っ直ぐに胸に染み入る。
完全に美緒の方に向き直り、蘭丸はボリボリと頭を掻く。
「今時古臭ぇ山奥の刀鍛冶だからな、ウチの実家は。ボロ臭ぇ小屋で、夏クソ暑くて冬クソ寒ィ鍜治場で、年がら年中焼けた鉄引っ叩く仕事だ。そんなとこの嫁なんて、やってられねぇわな、正味な話」
「え…いえ…」
美緒は蘭丸の顔を見る。
「私はそういう意味で言ったんじゃありません。古臭いとか、山奥だからとか…仕事や住んでいる場所で、人間の善し悪しが決まる訳ではないですから。それに、古くから伝わる技法を今も絶やす事なく守り続けている蘭丸先輩のご家族は、素敵だしご立派だと思います」
「……そうか?」
「はい」
頷く美緒に、蘭丸は微笑む。
いつものからかうような笑みではない、素直な笑み。
美緒の言葉が、真っ直ぐに胸に染み入る。


