天神学園のお忍びな面々

美緒は振り向いて、甲斐の顔を見た。

「この人は、天神学園での私の先輩なの。学園では生徒会長をしている私を、色々と手助けしてくれて…」

「お前、美緒の知り合いか」

ようやく足を止め、甲斐の方に視線を向ける青年。

額に浮かんだ汗を、腕で拭う。

「…ヒノモトより美緒様の護衛の為にやって来た、甲斐という。美緒様がお世話になっているようだが…」

甲斐は青年を見据える。

「美緒様を呼び捨てというのは頂けない。美緒様がヒノモト勅使河原将軍家ご息女と知っての無礼か?」

「…ご息女か…」

青年は真っ直ぐに甲斐を見る。

「俺は『先輩』だ。それ以上でもそれ以下でもない」