ここまでする事は無かろう。

リュークらしからぬ酷い仕打ちだ。

水面から顔を出し、見上げる椿。

リュークはそれを、橋の上から見下ろす。

「恨んでくれて構わん」

リュークは言い放った。

「甘ったれたお前の考えに喝を入れる為、頭を冷やしてやったまでの事。でなければ、琴月流とやらの現宗主が気の毒だからな」

「…リューク…!」

ギリ、と。

椿が歯噛みする。

温厚な椿が、普段見せる事のない表情。

「覚えておくよ、リューク。僕は君を必ず倒す…今夜の屈辱は、倍以上にして返させてもらう。琴月の系譜は、夕城の姓を名乗っていても執念深いよ…!」