天神学園のお忍びな面々

そんな椿が、牡丹や蘭丸には劣っていると、自身で解釈している。

誰が言った訳ではない、当の本人が。

いつものあまりに優しすぎる、臆病で自信がない心の弱さ。

それもあるだろう。

精神的脆さが、彼の溢れんばかりの才気を曇らせている。

それも否定はしない。

だが。

「坊には丹下の血を引く龍鬼先輩、蘭丸には美緒ちゃんを巡る恋敵のレオ…目標とし、倒さんとする好敵手がいる」

「…なのに己にはいない」

椿の言葉尻を、赤い道着の男が拾った。

「それがこんな夜分に俺を呼び出した理由か、椿」

リュークは無表情のまま、欄干に凭れ掛かる椿を見た。