「術式開始」

凛としたレオの声に。

『承認。ウンディーネ、シルフ、ノーム、ドリアード、フラウ、シェイド、ウィスプ』

聞いた事もない声が返答を返した。

反響するような、神秘的な声。

その声が、レオの握り締めているイクリプスからの声だと、美緒は気付く。

足りない魔力をイクリプスから補って、術式を補強している。

無論、精霊術に疎い美緒には、そこまでは理解できないが。

「今度こそ…!」

歯を食い縛って、魔力の消耗による意識の断絶に耐えるレオ。

『サラマンダー』

最後の1柱の精霊とのリンクが成功した事を、イクリプスが告げる。

「っりゃあぁあぁあぁぁぁぁっ!」

レオがイクリプスを振り下ろそうとした所で。

「!?」

射線上、木陰に美緒の姿を見とめ、彼は慌ててイクリプスを止める。

飽和した魔力は行き場を失い、爆発!

「レオッ?」

美緒が慌ててレオに駆け寄った。

「だ、大丈夫っ?ごめんね、私のせいで!」

レオを抱き起こし、膝枕する美緒。

「はは…いいって…もう夕飯か?美緒…」

焦点の合ってない目で、それでも美緒を見上げるレオ。