天神学園のお忍びな面々

リュークは穏やかに微笑む。

「案じてくれているのだな、俺を」

「…そりゃあね。友達だから」

照れ臭そうにそっぽを向くディア。

友達だからと念を押されたが、それでも愛しい娘に気遣われる事を、リュークは嬉しく思う。

このような娘だからこそ、リュークはディアを好いたのだ。

番犬時代に憧憬の念を抱いたミルトゥワの勇者の姫君そのままの女性で、リュークは本当に嬉しい。

「…そういう目で私を見ないで、バカッ」

気恥ずかしくなって、リュークの腕を叩くディア。

…思いのほか痛くて、リュークは腕を擦った。

「さあ、帰ろうディア。美緒はどうした？」

「…美緒なら先に帰ったわ。夕飯の支度もあるし、あの子も色々世話を焼いているから」

「？」

はて、美緒が世話を焼くとは、誰にだろう。

「全く」

ディアは溜息をついた。

「いいなあ兄様」