天神学園のお忍びな面々

「ドリアード」

ディアは森の精霊ドリアードを召喚する。

女王フォレイスほどではないにせよ、同属性のドリアードならば診断してくれるだろう。

結果。

《リ、リュークの体に異常はないですよぉ、疲れてはいますけど、いたって正常ですぅ》

恥ずかしそうにモジモジしながら、ドリアードは診察結果を告げた。

ホッと一息つくディア。

「いいわよ、リューク。道着は自分で直してね。汗臭いからお風呂入って、道着も洗濯した方がいいわ」

ディアはそう言って、ドリアードの召喚を解除した。

…リュークが超ヒノモト人化し、意識を失ってからというもの、ディアは毎日の稽古の後でこうしてドリアードによる診察を続けている。

本当ならば森の女王フォレイスによる精密な診断と、必要ならば風の女王グィーネによる治療もしたいのだが、残念ながらまだディアには女王の召喚までは出来ない。

「一度ミルトゥワに行って、お父様に診察して頂いた方がいいわ。何時か時間を取って…」

「いや、そこまでの大事ではない…気遣いだけ有り難く受け取らせてもらう」

「でも!」

ディアは強い口調で、リュークを睨んだ。

「リュークのお父様は、精霊乖離症に罹った経験があるんでしょ?息子のリュークも、そうならないとは限らないわ。そうなったら…」

言いかけた言葉を一旦飲み込んで。

「…誰が、私や美緒の護衛をするの?誰が次のヒノモトの将軍になるの?」