家々から夕飯の香りが漂い始める頃、天神学園柔道場でも1つの部活が終了する。
「「ご指導、有り難うございました!」」
リュークと龍鬼が、並んでリカに一礼する。
肩で息をして、道着は汗だく、随分と解れている箇所も増えてきた。
が、最近は稽古終了時に大の字になって立てないという事も減って来たし、リカも多少呼吸を乱すようになってきた。
稽古という名目での、部活時間目一杯使っての、2人がかりでのリカとの対戦。
相変わらず負け続けではあるが、負け方も完全敗北から、技有りを取られての惜敗に変わってきた。
負けは負け。
そう言って毎日悔しそうなリュークと龍鬼だが、確実に進歩は見せていると、リカは内心ほくそ笑んでいる。
「そら、龍鬼」
リカが顎をしゃくった。
「お迎えが来ているぞ。さっさと行ってやれ」
彼女が言った先には、ぼんやりと立つ白雪の姿があった。
「おー?」
まだ呼吸が整わないまま、龍鬼は白雪を見る。
「何だ、また監視か?」
「…………」
コクリと頷く白雪に、リカもリュークも、顔を背けて笑う。
じぃっ…と白雪に睨まれたので、慌てて口元を押さえたが。
…リカとの対決で、龍鬼の鬱積していた魔力が発散されて随分と経つ。
更には吸血鬼や悪魔から、丹下寄りの血が強く影響し始めた事で、龍鬼は封印対象としての危険はより小さくなった。
実を言うと父・冬樹からも、龍鬼の監視は毎日でなくてもいいだろうというお墨付きは貰っている。
嘗ての臥龍や禿鷲のような危険性は、最早皆無と言っていい。
それでも。
「…………封印対象の監視は…………小岩井の役目…………」
白雪はそう言って憚らない。
あくまで天神学園の平和の為に、白雪は龍鬼を監視しているのだ。
「そうだな、仕方あるまい。天神学園の平和の為だからな」
半笑いで相槌を打った為に、リカはまた白雪に睨まれた。
「「ご指導、有り難うございました!」」
リュークと龍鬼が、並んでリカに一礼する。
肩で息をして、道着は汗だく、随分と解れている箇所も増えてきた。
が、最近は稽古終了時に大の字になって立てないという事も減って来たし、リカも多少呼吸を乱すようになってきた。
稽古という名目での、部活時間目一杯使っての、2人がかりでのリカとの対戦。
相変わらず負け続けではあるが、負け方も完全敗北から、技有りを取られての惜敗に変わってきた。
負けは負け。
そう言って毎日悔しそうなリュークと龍鬼だが、確実に進歩は見せていると、リカは内心ほくそ笑んでいる。
「そら、龍鬼」
リカが顎をしゃくった。
「お迎えが来ているぞ。さっさと行ってやれ」
彼女が言った先には、ぼんやりと立つ白雪の姿があった。
「おー?」
まだ呼吸が整わないまま、龍鬼は白雪を見る。
「何だ、また監視か?」
「…………」
コクリと頷く白雪に、リカもリュークも、顔を背けて笑う。
じぃっ…と白雪に睨まれたので、慌てて口元を押さえたが。
…リカとの対決で、龍鬼の鬱積していた魔力が発散されて随分と経つ。
更には吸血鬼や悪魔から、丹下寄りの血が強く影響し始めた事で、龍鬼は封印対象としての危険はより小さくなった。
実を言うと父・冬樹からも、龍鬼の監視は毎日でなくてもいいだろうというお墨付きは貰っている。
嘗ての臥龍や禿鷲のような危険性は、最早皆無と言っていい。
それでも。
「…………封印対象の監視は…………小岩井の役目…………」
白雪はそう言って憚らない。
あくまで天神学園の平和の為に、白雪は龍鬼を監視しているのだ。
「そうだな、仕方あるまい。天神学園の平和の為だからな」
半笑いで相槌を打った為に、リカはまた白雪に睨まれた。