2人を遮二無二抱き締める古奈美。

もう揉みくちゃだ。

「お、お母様っ、折角の花束が潰れてしまいますっ」

美緒がお母様と呼ぶものだから、余計に感動して、古奈美の手に力が入る。

「は、母上っ」

生まれてこの方、母親に抱き締められた記憶などない。

リューク、大いに照れる。

「何だよ何だよ、お前らばっかり!俺も混ぜろよ!」

「リュート君は駄目!今日は母の日だからあっち行って!」

「あっち行ってとかヒデェな古奈美!お父さんは悲しいぞ!」

喧々囂々、賑やかな謁見の間。

控えていた家臣達も、密かに笑いを噛み殺している。