天神学園のお忍びな面々

「天神学園のある地球において、今日は『母の日』と申しまして」

リュークが目線で合図を送ると、家臣の者が花束を携えてやってくる。

リューク達が天神での生活に困らないようにと仕送りは豊富に送ってくれているが、この花束だけは、リューク達が新聞配達や牛乳配達のアルバイトをして、コツコツと貯めた金で買ったものだ。

「母上」

リュークと美緒が共に花束を手にして、古奈美に渡す。

「産んでくれて…ここまで育ててくれて、有り難うございます…俺達『兄妹』は、本当に幸せです」

「……っ」

瞳を潤ませ、古奈美は2人からの花束を受け取る。

母の日の定番のカーネーション。

本数こそ少ないが、リューク達が自分の力で買った花束だ。

見栄えなど、どうでもよかった。