天神学園のお忍びな面々

リュークほどは強くない。

美緒は古奈美の胸の中で、大きな声で泣きじゃくる。

リュークが真実を知る時まで。

自分が勅使河原の娘でいられるのはその時までと、ずっと覚悟は決めていた。

その時が来た今、自分はただの女中の娘でしかない。

そう思っていた。

リュークは、美緒を家族だと、妹だと言ってくれる。

それも、体裁でしかないと思っていた。

だが…。

「少し痩せたかしら?天神での生活は苦しいの?お兄ちゃんに意地悪されたりしてない?」

美緒の頬に両手を当て、心配そうに覗き込む古奈美。

「いえっ、リューク様は…いえ…」

瞳を潤ませながら、美緒は返答する。

「お兄ちゃんは、とても大事にしてくれます…学園の皆も、とてもよくしてくれます…美緒は幸せです…『お母様』」