胸に、熱いものが込み上げる。

リュークは思わず視線を逸らした。

「申し訳ありません将軍…視線を逸らす事をお許し下さい…」

「おぅ、いいぜいいぜ、何なら赤子の時以来、俺の前でワンワン泣いたって構いやしねぇ」

嬉しそうに笑うリュート。

「リュート君、そんな言い方したらリュークに意地悪よ」

古奈美は優しげな顔をリュークに向けた。

「貴方の身を守る為とはいえ、幼い頃から親元を引き離し、随分と辛い思いをさせました…許して頂戴ね、リューク」

「いえ…いえ…!」

俯いたまま、リュークは何度も首を横に振る。

彼らは、ようやく『親子』になった。

リュートも古奈美もリュークも、そう感じていた。

その様子を、寂しげに見守る美緒。

彼女を。

「美緒」

古奈美は歩み寄り、フワリと抱き締めた。

「もう…何て顔してるの。ほら、よぉく顔を見せて頂戴?久し振りに見る、『私達の可愛い娘』の顔を」

「…奥方様…!」

「やぁね、他人行儀に。いつもみたいにお母様って呼んで頂戴な」