案内され、リュートの御前に通されるリューク達3人。

「よぅ、久し振りだな。声は毎週のように聞いてるけどな」

座したまま、穏やかな笑みを浮かべて言うリュート。

「…ご無沙汰しております、将軍」

「お久し振りです、将軍様、奥方様」

対するリュークと美緒は、正座し、平伏したままで緊張した声を上げる。

無理もない。

『護衛部隊・番犬の甲斐』と『勅使河原将軍家の娘・美緒』でなくなってから、初めての謁見だ。

もう護衛でもなければ、娘でもなくなっている。

「…顔上げろや、2人とも」

姿勢を崩したままで、リュートは2人に言い放つ。

…強張らせた顔を、ゆっくりと上げる2人。

リュートはまず、リュークの顔を見た。

「主人に言われた相手に咬みつくしか知らなかった番犬が…人間らしい、いい顔になったなぁ、リューク。古奈美似の、男前になったぜ、お前」