当面の所、肉体に悪影響を及ぼす事がないと分かり、リュークは教室へと戻っていった。

「良かったなディア、美緒。リュークが取り敢えず大事には至らなくて」

「そうね。寧ろ大事なのは兄様だわ」

廊下を歩いていくリュークの背中を見送った後、ディアはレオの横顔を睨んだ。

「私と美緒が夜眠った後、部屋を抜け出しているでしょ?」

「えっ、そうなのレオ?」

ディアの指摘で、美緒もレオの顔を見る。

「…何をしているかまでは詮索しないけど、あまり無茶はしないでね。手間を掛けさせられるのはリュークだけで手一杯だから」

言い方こそそっけないが、ディアは兄の事を気にかけている様子だった。