「坊のはね、豆柴ちゃん。斬鉄・極(ざんてつ・きわみ)と名付けているんだ」

椿が豆柴に言う。

「おい椿」

牡丹が窘めるが、椿は構わない。

「その名の通りさ。斬雨のように数に頼るんじゃない。斬鉄・金剛のように力任せじゃない。坊は愚直に不器用に、ただただ普通の斬鉄を磨き続けたんだ。その結果…」

椿は薄く笑う。

「坊の斬鉄・極は…本当に斬れないものはなくなった。斬鉄・極は、受け太刀した色彩銘刀さえも両断する」

「なっ!」

椿の言葉に絶句する豆柴。

受け太刀した刀すらも両断とは。

しかも国宝級の色彩銘刀でさえ、その斬撃に耐えられないとは。

ならば斬鉄・極の対抗策は、回避以外にはないという事ではないか。